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明大レスリング部のあゆみ
 
   明大レスの肝っ玉男
田口 美智留
 それはブルガリアの首都ソフィアでの、フリースタイルの世界選手権での出来事であった。試合場は広い陸上競技場の一角に設けたテント張り。試合用のマット以外は、一部の役員席を除き我々審判団の席も青空のもとという、誠に開放的な会場であった。

主役はフリースタイル・バンタム級の我が明治の柳田選手。試合はそれまで破竹の勢いで勝ち進み、いよいよ決勝戦となった。無論、我々日本人審判団は当該国の審判はできないため、固唾を呑んで試合を見守っていた。その時、今まで優勢であった柳田選手・が、突然競技台のマット上から下の芝生に転げ落ち、まさに悶絶状態。驚いた私は審判席を飛び出し、思わず柳田選手の傍に駆け寄った。「オイ!大丈夫か!」と言って彼のサポーターに手を掛けようとしたら、「先輩、大丈夫だ。休んでいるんだ」と言うのである。

彼は残り時間あと2〜3分というところで、堂々とルール上のインジュリータイムの3分間を有効に使って休んでいたわけだ。この作戦、この度胸たるや、思わず私のほうが驚いてしまった。本来、審判員が試合中の選手と接触することは、ルール上許されてはいないのだが、彼の演技は、まさに敵を欺くにはまず味方を、という戦法なのか、誠に心憎い真に追った演技であった。この度胸の良さとベストの勝利を治めるべく自己管理のできた彼の優勝、そして世界チャンビオンの誇りが、翌年のミュンヘンオリンピックでの金メダルに繋がったものと確信している。
ソフィアにて

 

 

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